ヘアーライン加工のはじまり
ブラシやサンドペーパー、たわし、スコッチブライト等で製品の表面を規則的に擦って、模様のような線を描くことをヘアーライン加工と呼んでいます。
弊社がヘアーライン加工を始めたのは、おそらく日本で一番古い方と思います。
1960年代に、ある大手電機メーカーの設計担当者が、ヘアーライン加工が施されたアメリカ製のポータブルラジオを持っていて、「この加工が出来ないか?」と相談されたのが始まりです。そのことがきっかけで、当時の弊社専務が研究を始めました。そして、1970年前後に量産にこぎつけました。
光沢は食器用洗剤で
弊社の専務が、1960年代の研究当初、ヘアーライン加工の方法として考えたのは、アルミ板の表面に水道水を流しながら、金属ブラシを使って、手で挽いていく方法でした。
東京都墨田区の錦糸町駅近くに会社があった頃、京葉道路沿いの歩道で作業をしていたそうです。
しかし、水道水を使ってヘアーラインを挽きますと、加工後のアルミ板の表面が全体的に曇った感じになります。その後曇らない方法をいろいろ試した結果、食器用洗剤を塗りながら挽くと、曇らずに光沢が残ったままヘアーライン加工が出来ることが分かりました。
ヘアーラインのオートメーション
ヘアーライン専用の機械が作られるようになりますと、食器用洗剤からプレス油や切削油に変わり、一般的に油ヘアーラインという言い方になります。
ちなみに、光沢を落とした仕様で、水ヘアーラインというものも需要が残っております。
現在でもヘアーライン加工は、デザイン表現のひとつとして、弊社ではカーオーディオやホームオーディオ、デジタルカメラ、インテリア雑貨、テーブルウェアなどの製品に施しております。
ヘアーライン加工で素材を最大限に引き出す
デジタルカメラ関連製品では、ブランド名ロゴや社名ロゴの周辺にヘアーライン加工を施すことが多いのですが、ヘアーライン加工をすることにより、ロゴの文字の輪郭がハッキリしますし、光沢アルマイトにより金属独特の光沢感を引き出すことによって、高品位の印象になります。
また、ヘアーライン加工は、特にアルミの表現力を生かす加工なので、カーオーディオやホームオーディオ、自社ブランド商品(SEN)においては、アルミ製であることを最大限に活かすための手段のひとつとなっておりまして、これらでも高品位の印象に貢献しております。